2023年10月6~7日に第36期竜王戦七番勝負第一局が、セルリアンタワー能楽堂(東京都)で行われました。
タイトル保持者である藤井聡太竜王に対し、タイトル戦初挑戦の伊藤匠七段が挑むこの竜王戦。お互い2002年生まれの同世代で、21世紀生まれでのタイトル戦は史上初となります。
新時代の幕開けともいえるこのシリーズ。どのような戦いが繰り広げられるか楽しみです。
第36期竜王戦七番勝負第一局|セルリアンタワー能楽堂(東京都)での将棋対局
振り駒の結果、伊藤匠七段の先手番で始まった第一局。伊藤匠七段は「相掛かり」を採用します。角交換を行いつつ、持久戦の模様となります。
お互い駒組を進めつつ攻撃のきっかけをうかがっています。
ここで駒台にある角の利用に違いが生まれました。自陣付近に相手の飛車を牽制する形を取った伊藤匠七段に対し、藤井聡太竜王は相手陣に積極的に角を打ち込みます。
お互い攻撃を仕掛けていますが、躍動感があるのは藤井聡太竜王です。相手の金を狙う歩打ちや飛車角交換で相手に飛車を渡しますが、手にした角をさらに攻撃に利用。
後手優位を主張した手とも言えます。ここで一日目が終了です。
一日目の昼食メニュー
藤井聡太竜王「ほうれん草のタイ風グリーンカレー」
伊藤匠七段「牛香味焼丼」
好みが分かれるメニューですが、お互いの気持ちが表れているのでしょうか。
安定のカレーに対し、ガッツリ気合の牛の焼丼。伊藤匠七段は昼食でも元気を注入してます。
一日目のおやつ
藤井聡太竜王「ジョリファントムとアイスコーヒー」
伊藤匠七段「フルーツ盛り合わせ(S)」
藤井聡太竜王のおやつは一つ目の妖怪をモチーフにしたチーズケーキです。これは人気出そうな予感がします。
二日目に入り、本格的な攻め合いになりました。
打ち込んだ角を成り込んで桂馬を入手した藤井聡太竜王に対し、と金で相手陣を揺さぶる伊藤匠七段。桂馬を跳ねて飛車を右辺へ展開したのには迫力がありましたが、ここは藤井聡太竜王。こちらも桂馬を跳ねて相手玉へプレッシャーを掛けます。7筋の歩を金で払った伊藤匠七段でしたが、藤井聡太竜王の6四桂馬打ちで金銀両取りで優位を主張。
その後も歩裏の香車打ちの手筋もあいまって優勢になります。
その今日の成り込みからの銀打ちにて伊藤匠七段が投了。藤井聡太竜王の勝利となりました。
注目された新世代の戦いでしたが、第一局は藤井聡太竜王の貫録勝ちとなりました。
初タイトル戦で、相手が藤井聡太竜王ならば先手番でも苦しかったのでしょうか。
雰囲気に飲まれた感じもした伊藤匠七段。次戦での巻き返しに期待です。