2025年10月7日に第73期王座戦5番勝負第四局が、元湯 陣屋(神奈川県)で行われました。
第三局を勝利しタイトル奪取に王手を掛けた伊藤匠叡王。対する後がなくなった藤井聡太竜王は先手番で是が非でも勝利をもぎ取って最終局に進みたいところです。
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第73期王座戦5番勝負第4局|元湯 陣屋(神奈川県)での将棋対局
藤井聡太竜王の先手番で始まりました本局、角換わりの駒組みから注文を付けたのが伊藤匠叡王。
後手番から角交換に動かず、4四に角を進め早くも力戦調に持ち込む意志です。
先手の藤井聡太竜王は雁木に組み、後手の伊藤匠叡王は矢倉模様の駒組みとなりました。
互いに敵陣を牽制する歩突きで角の位置が変わったところで休憩となりました。
藤井聡太さん今日の昼食メニュー
藤井聡太王座「陣屋カレー(伊勢海老)、アイスレモンティー」
伊藤匠叡王「陣屋カレー(ビーフ)、アイスティー」
共に陣屋と言えば有名なカレーです。どちらも食欲をそそりますね。
休憩後、長考の末角を移動し攻撃ラインを変更しました。それに対し飛車で6四の地点の数を増やして受ける伊藤匠叡王。
相手を牽制してから自陣の受けに手を回す藤井聡太王座。持久戦模様となっています。
8筋の突っかかりをいなした藤井聡太王座が5筋の中央攻撃に手を掛けたところで休憩です。
藤井聡太さん今日の午後のおやつ
藤井聡太王座「和菓子(練り切り)、抹茶、オレンジジュース」
伊藤匠叡王「和菓子(おまんじゅう)、抹茶」
どちらも和菓子と落ち着いた一着です。
伊藤匠叡王も飛車を自陣に引き守りを固める方針に変えます。
互いに牽制するなか、角頭に銀を当てられましたが2八に引いた手が藤井聡太王座の絶妙手。
解説のプロも唸る味の良い手で、ここから藤井聡太王座に形勢が傾き始めます。
6三歩成りも痛くて、右辺を制圧される形となった伊藤匠叡王は受けてばかりでは勝ち目無しと踏み込みます。
角交換の後、飛車を成り込んだのが迫力ある手です。
しかし6四に角を進めた手が相手玉を睨みつつ金にと金を当てる5二が激痛で、藤井聡太王座の優勢が見えてきます。
伊藤匠叡王もアヤを付けるべく、桂馬を活用した手で敵玉にプレッシャーを掛けます。
が、桂成りを玉で力強く払ってからが圧巻でした。
再度、馬を相手玉のラインに配置してからが流れるような指しまわしで、あっという間の寄せを見せます。
攻防共に見込み無しと見た伊藤匠叡王の投了、藤井聡太王座が勝利し勝ち星をタイに戻しました。
予想通りの白熱した熱戦となりましたが、先手番の利を最後まで離さなかった藤井聡太王座の勝利でしたが、形勢は紙一重でした。
これで互いに勝ち星を2つとしての第五局を迎えます。
藤井聡太王座は元々の強さを維持し進化していますが、棋力の振れ幅を考えれば伊藤匠叡王の強さの成長はそれを凌駕しているとも言えます。
さあ、泣いても笑っても最終局です。
次でこのシリーズが終わってしまうのはさみしいですが、大熱戦が約束されています。
楽しみに待ちましょう!