2024年8月27~28日に第65期王位戦七番勝負第五局が、中の坊瑞苑(兵庫県)で行われました。
第四局で勝利しタイトル防衛に王手を掛けた藤井聡太王位に対し、後がなくなった渡辺明九段が用意した作戦で踏みとどまれるのか。第五局の始まりです。
第65期王位戦七番勝負第五局|中の坊瑞苑(兵庫県)での将棋対局
藤井聡太王位の先手番で始まりました第五局。渡辺明九段は角道を塞ぎ「雁木」模様とします。
それに対し藤井聡太王位は角頭に攻撃を仕掛けるべく、3筋に飛車を振りました。
主導権を握らせたくない渡辺明九段は角交換をし、3筋の弱みを緩和させ入手した角を6四に打ち込み急戦を臭わせました。
3筋の攻防の後、8六の歩先に銀打ちの荒手とも強手とも言える渡辺明九段の思い切った手で昼食に入りました。
第64期王位戦七番勝負第二局|中の坊瑞苑(兵庫県)7月13~14日
一日目 昼食メニュー
藤井聡太王位「神戸牛と淡路産玉葱の丼ぶり膳、お~いお茶 宇治抹茶」
渡辺明九段「国産うな重膳~有馬山椒と共に~。ご飯少なめ、小鉢とデザートなし」
お二方共にスタミナが付きそうなメニューで英気を養います。
昼食後に長考の末、藤井聡太王位は千日手を拒否する銀打ちから玉を前に出す積極策にでます。
玉の「コビン」に攻撃の標準を合わせる渡辺明九段に対し、それをうまくいなして反撃体制を整えて一日目が終わりました。
二日目、渡辺明九段の角からの攻撃を捌き2筋から反撃に出た藤井聡太王位。ここで二日目の午前のおやつです。
二日目午前のおやつ
藤井聡太王位「白玉冷やしぜんざい」
渡辺明九段「苺ショートケーキ、アイスコーヒー」
和菓子、洋菓子と分かれましたね。
まとめ
お互い攻撃のきっかけを探すべく、鍔迫り合いが続きましたが、藤井聡太王位の飛車を2筋から7筋に展開したことで相手陣形が動揺しました。
飛車切りから6筋に歩を垂らし、9筋から放った角が玉頭を睨みます。
渡辺明九段も相手陣に飛車を打ち込み速攻で仕留めようと試みますが、終盤力は藤井聡太王位が上回りました。
桂馬を取って竜を作ったところで渡辺明九段は最後の詰めろを張りました。
そこから7四に桂馬を打ったところで渡辺明九段の投了。藤井聡太王位が勝利しました。
この勝利で王位タイトル5連覇とし防衛と共に「永世王位」の資格も獲得しました。
シリーズ前半は渡辺明九段の用意した研究が光り、シリーズの流れがどうなるかわからないと思われましたが、やはり中終盤の底力の差で藤井聡太王位がねじ伏せました。
2日制で無敵の強さを誇る藤井聡太王位。
この牙城を崩すことができる棋士が表れるでしょうか?