2024年4月10~11日に第82期名人戦七番勝負第一局が、ホテル椿山荘(東京都)で行われました。
椿山荘と書いて、ちんざんそうと読みます。
藤井聡太名人に対し挑戦者は豊島将之九段。
藤井聡太名人が棋士になった頃は苦手棋士として有名だった豊島将之九段。現在は逆にかなり負け越していますが、過去一番白星を重ねた棋士。この大舞台で巻き返しを狙います。
藤井聡太名人は名人初防衛がかかります。
第82期名人戦七番勝負第一局|ホテル椿山荘(東京都)での将棋対局
振り駒の結果、藤井聡太名人の先手番で始まった第一局。本局は、後手の豊島将之九段の志向により「横歩取り」となりました。さらに端歩を尽きて定跡を外し、力戦で立ち向かいます。
両者相手陣に角を打ち馬を作り乱戦模様も予想されましたが、豊島将之九段が馬交換に応じいったん落ち着いて互いに駒組を進めます。
一日目昼食メニュー
藤井聡太名人「冠地鶏のかさね重とかぼす緑茶」
豊島将之九段「船盛定食」
毎日新聞より
「冠地鶏」とは大分県のブランド地鶏で、とても柔らかい身が特徴な美味しい地鶏です。
お互い相手の様子をみながらの駒組で一日目が終わります。
二日目に入り、お互い自陣の玉を囲ったあとで動き出します。
9筋の狭いところに飛車に当てる角打ちを放った豊島将之九段。一見、角がいじめられそうですが、6筋、3筋と展開し相手陣を睨みます。
藤井聡太名人も角打ちから香車を取り馬を作り攻撃の打開を図ります。
しかし、その隙にと金を作ったのが攻守で、じわじわと相手の囲いに迫ります。
ちなみに二日目午後のおやつは両者ドリンクのみ。藤井聡太名人はオレンジジュース、豊島将之九段はリンゴジュースでした。
ここから豊島将之九段が攻勢に出て多彩な攻めを見せます。藤井聡太名人も反撃の桂馬打ちを試みますがこれが悪手で評価値は豊島将之九段に傾きます。
竜を作って一間竜にして金先に香車はぱっとみ好手に見えますが、ここから評価値がイーブンに戻ります。
豊島将之九段は竜を7筋に転換して寄せを図ろうとしましたが、これが疑問手で藤井聡太名人が優勢になります。
ここをしのぎ切って反撃に転じ、あっという間に寄せの形に持ち込まれた豊島将之九段。142手で投了となり、藤井聡太名人が1勝を挙げました。
力戦に持ち込んで流れをつかんであと一歩まで追い詰めたのは流石でしたが、あと一歩のところを踏ん張るのが藤井聡太名人の強さですね。
第2局は豊島将之九段の先手番。
どんな作戦で来るのか楽しみですね。