2025年7月29日〜30日にお〜いお茶杯第66期王位戦7番勝負第三局が、ポルトムインターナショナル北海道(北海道)で行われました。
藤井聡太王位の開幕2連勝となっている今シリーズ、相変わらずの総合力で強さを誇示しています。対する永瀬拓矢九段も中盤までは形勢を支配しかけているのであと一歩なにかあれば勝利も間近です。シリーズの流れを左右する第三局の始まりです。
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お~いお茶杯第66期王位戦7番勝負第三局|ポルトムインターナショナル北海道(北海道)での将棋対局
ここは負けられない永瀬拓矢九段の先手番で始まりました本局、互いに角道を開ける流れになり藤井聡太王位が角道を止めたことで、角換わりがなくなりました。
先手は矢倉模様、後手は雁木の戦いになりそうです。
角換わりほど研究が行き届いているわけではありませんが、特に後手雁木は流行りの戦型のひとつで、藤井聡太王位がどういう指しまわしをするか注目です。
一日目昼食メニュー
藤井聡太王位「手毬御膳、ほうじ茶」
永瀬拓矢九段「彩押し寿司と蕎麦(冷)セット、サーモンとホタテのタルタル仕立て、アイスコーヒー、アイスティー」
藤井聡太王位は軽く、永瀬拓矢九段はボリューム満点といったところですね。
矢倉対雁木の駒組みが進む中、後手番の藤井聡太王位が飛車先の歩の付き捨てから攻撃のきっかけを探ります。
ここで永瀬拓矢九段が7七の銀を下げたところが驚きで、ぱっと見矢倉から銀冠に変える構想でしょうか。
藤井聡太王位が6筋の歩を伸ばしてつっかかったところで封じ手です。
二日目に入り、左辺で攻撃を仕掛ける藤井聡太王位に対し、これを受けつつ右辺での攻めの構想に出た永瀬拓矢九段。
攻めては受け、受けては攻めの繰り返して中終盤に進みます。
二日目午後のおやつ
藤井聡太王位「オレンジジュース、ぶどうジュース」
永瀬拓矢九段「選べる北海道産フルーツパフェ(マンゴー)、ご馳走プリンプレミアム、他移動牛乳カステラ、アップルジュース、ぶどうジュース」
永瀬拓矢九段、相変わらずですがおやつというより食事の量ですね。
互いに攻撃を仕掛けるなか、藤井聡太王位の銀取りを手抜いて5六に垂らした歩が絶品で、相手玉が壁銀で逃げ道が無い中、そうとうなプレッシャーを掛けます。
ここから藤井聡太王位の寄せの妙技が炸裂します。急所の歩は払っても一手手損の角逃げは手抜き相手の飛車を確保に行ったのが勝負術で、敵陣への飛車打ちが激痛です。
最後6七への歩のたらしから、角を当てられたと金を成り銀で守ったところで、攻防の見込み無しと判断した永瀬拓矢九段の投了。
藤井聡太王位の開幕3連勝となりました。
ここはなんとしても勝たなければならない永瀬拓矢九段でしたが、藤井聡太王位が序盤の駆け引きから角換わりを拒否し、雁木に組んでの力戦にしたのが想定外だったのでしょうか。
今回は一手勝ちではなく力負けを喫した永瀬拓矢九段。しかし、軍曹と呼ばれる彼が諦める選択肢はありません。
藤井聡太王位との将棋を楽しむ、そして勝ちたいという情熱は消えていないはずなので第四局は後手番でもしぶといはずです。
無論、藤井聡太王位も永瀬拓矢九段の強さにリスペクトを持っていますし、勝負の中でも永瀬拓矢九段との将棋を楽しんでいます。
お互いリスペクトされた将棋を第四局で堪能しましょう。
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