2024年6月20日に第9期叡王戦五番勝負第五局が、常磐ホテル(山梨県)で行われました。
藤井聡太叡王2勝、伊藤匠七段2勝で迎えた最終局。防衛か?初栄冠か?風雲急を告げます。
第9期叡王戦五番勝負第五局|常磐ホテル(山梨県)での将棋対局
最終局での振り駒の結果、藤井聡太叡王の先手番となりました。先手番で高勝率を誇る叡王。さらに得意戦術の角換わりを採用します。
お互い研究の鬼なだけあって早い進行となりますが、伊藤匠七段が玉を右辺へ構える「右玉」で備えます。これは伊藤匠七段が叡王戦挑戦者決定戦にて、永瀬拓矢九段戦にも似た戦型。角換わりの後手番の有力戦法でしょうか。
藤井聡太叡王は9八に香車を上げ穴熊宣言。玉を入城させますが金で蓋をせず進行します。
伊藤匠七段の角の打ち込みで成り込みを試みるも、角には角で阻止する藤井聡太叡王。
お互いに研究のぶつかり合いが続きます。
昼食メニュー
藤井聡太叡王「天ぷらそば御膳(冷)、ウーロン茶」
伊藤匠七段「特製カレーライスとアイスティー(ストレート)」
叡王戦中継ブログより
おたがいシンプルな昼食で午後の戦いの前の小休止となりました。
角交換の後に、相手玉頭を藤井聡太叡王が牽制します。
歩を伸ばして牽制したのち、銀のタダ捨ての6六銀が、穴熊ならではの強引な一手。
タダで取られても、6五に桂馬を打ち込むのが好手。藤井聡太叡王の怒涛の攻撃の始まりです。
おやつメニュー
藤井聡太叡王「ぺこちゃんのほっぺ(ブルーベリーチーズクリーム)、オレンジジュース」
伊藤匠七段「山形県産佐藤錦バウムクーヘン、アイスティー(ストレート)」
叡王戦中継ブログより
藤井聡太叡王はキャラクターものを好む気がします。
藤井聡太叡王の攻撃が止まりませんが、伊藤匠七段も飛車を犠牲にして手番を得、歩の打ち込みで圧力をかけます。
ここから伊藤匠七段が穴熊はがしのと金攻め。藤井聡太叡王も竜を守りに配置し粘り強く固めます。
しかし伊藤匠七段の猛攻に後がなくなった藤井聡太叡王。最後の反撃にでます。
ただ、かなりの手数を読める7冠に相手玉の詰みが無いのを悟り18時32分投了。
伊藤匠七段がシリーズ3勝2敗とし、初のタイトルホルダーとなりました。
最終局で藤井聡太叡王が先手番になった時は、やはり持っている棋士だと思いましたが、伊藤叡王の後手番での角換わり対策が功を奏した形となりました。
途中から定跡から外れ、お互いの棋力をぶつけ合った形となった本局。
その結果での伊藤匠七段の勝利は価値の高いものです。
これで藤井聡太七冠となり、全冠保持では無くなりました。
他の棋士も光明が差したと俄然やる気が出たのではないでしょうか。
今後のタイトル戦も注目ですね。