2023年5月28日に第81期名人戦七番勝負第五局が、緑霞山宿藤井荘(長野県)で行われました。
渡辺明名人1勝、藤井聡太竜王3勝で迎えたこの一局。渡辺明名人が勝利し踏みとどまるか、藤井聡太竜王が勝利し名人奪取となるか。第五局の始まりです。
第81期名人戦七番勝負第五局|緑霞山宿藤井荘(長野県)での将棋対局
渡辺明名人の先手で始まった本局は、渡辺明名人が「矢倉」藤井聡太竜王が「雁木」の囲いを採用した力戦系となりました。
渡辺明名人が採用した戦法は矢倉でも「菊水矢倉」と呼ばれるもので、普通の矢倉と違い、桂馬を跳ねることにより玉をその位置に移動し戦場から遠ざけるのと、相手の桂馬を跳ねづらくさせる狙いがある囲いです。
対する藤井聡太竜王は右四間飛車を採用し攻撃に備えます。
右四間飛車は対矢倉戦に採用されることが多く、対応策を持っていないと一気に攻められてしまう事が多い攻撃戦法です。
初日の終わり間近から駒がぶつかり合い開戦模様となりました。
開戦から数手進んで、藤井聡太竜王の封じ手で一日目が終わりました。
初日の将棋めし
渡辺明名人「握りずし」(多め、さび抜き、セットのかけ蕎麦とデザートは抜き)
日刊スポーツより
藤井聡太竜王「信州ポーク勝カレー」
日刊スポーツより
二日目が藤井聡太竜王の封じ手より始まりました。
お互いけん制し合ったところで渡辺明名人が飛車を有効活用すべく角を犠牲にしたのですが、藤井聡太竜王は狙われた角を駒損覚悟で飛び出しました。
金で取れば渡辺明名人の駒得になるところでしたが、長考の末実践的に桂馬で王手をかけたのが分岐点となりました。攻めの手を続けた渡辺明名人でしたが、藤井聡太竜王の玉が中断付近まで上がり、却って安全になったところで藤井聡太竜王の鋭い攻め筋が連続し、遂に渡辺明名人が投了となりました。
この結果、藤井聡太名人の誕生となり谷川浩司十七世名人の持つ最年少記録を更新し、羽生善治九段以来二人目の七冠達成となりました。
このシリーズを通して改めて感じたことは、他のタイトル戦同様に藤井聡太名人は連敗をしないという事。つまり第一局で勝利すればデータ的にタイトルを必ず奪取または防衛できることを証明したことになります。
今までこんな棋士はいませんでした。鳥肌が立つ思いです。
こうなったらこの目で八冠達成もこの目で見てみたいので、なんとしてでも王座戦挑戦者になって欲しいです。