2025年3月8~9日に第74期ALSOK杯王将戦七番勝負第四局が、旧渋沢邸『中の家』(埼玉県)で行われました。
第四局をカド番ながら1勝をあげてタイトル獲得の希望を繋いだ永瀬拓矢九段。相変わらず優位を築いている藤井聡太王将。
ここで決まるか、踏みとどまるか、第五局の始まりです。
第74期ALSOK杯王将戦七番勝負第三局|旧渋沢邸『中の家』(埼玉県)での将棋対局
永瀬拓矢九段の先手番で始まりました第五局、2手目に衝撃が走りました。
飛車先の歩を突くのが先手後手問わず藤井将棋の定跡でしたが、ここでなんと角道を開ける3四歩という符号が、藤井聡太王将にとってプロ初となりました。
後手番が雁木の構えになり、先日の棋王戦での対増田康宏八段戦と似た出だしとなります。
永瀬拓矢九段の動揺はあったものの、数々の定跡を凌駕しているだけあって、すぐに早繰り銀の戦型で対応します。
一日目昼食メニュー
藤井聡太王将「煮ぼうとう・とろろご飯」
永瀬拓矢九段「深谷ねぎカレーやきそば」
藤井聡太王将のメニューはボリューム感あります。
互いに歩交換を交え均衡をたもちつつ一日目が終了します。
二日目に入ってからも、お互い持ち時間を使いバランスの取れた指しまわしとなりました。
角はお互い似た効きをしているのに対し、飛車の効きが勝敗を分けそうな流れになっています。
二日目午前のおやつ
藤井聡太王将「和菓子(秀吉)、リンゴジュース」
永瀬拓矢九段「あまおうタルト、ブラッドオレンジソーダ、ホットミントティー」
あまおうタルトそそられます!
終盤戦に突入してからの藤井聡太王将の構想が素晴らしく、一見3一に銀打ちした飛車金両取りされた手が痛く見えますが、7筋に逃げた飛車が相手玉のラインに入りにらみを利かせる形が妙計でした。
成り銀で相手玉にプレッシャーをかける永瀬拓矢九段ですが、桂成りから飛車を切って精算したところでの歩のたたきを受け、永瀬拓矢九段が投了。
藤井聡太王将の王将4連覇となりました。
意表の角道をあける手。これは普通の棋士ならば選択肢のひとつとして普通な手なのですが、藤井聡太王将はプロ入りしてからの初手は必ず飛車先の歩を突くのが定跡でした。
この定跡破りに対して、永瀬拓矢九段は準備していなかった旨を説明されていたので、してやったりだったのでしょうか。
中盤まで時間を使わされた永瀬拓矢九段。時間の優位を築けなかったのも敗因でしょう。
盤石の4連覇で幕を閉じた王将戦、来年は誰が藤井聡太王将に挑むでしょうか。